清水(2017) 統計的因果探索

先日読了したこちらの本についても簡単にメモ.何年か前の社会心理学会の方法論セミナーで話を聞いた際から気にはなっていた統計的因果探索ですが,何をやっているのかはよくわからないままでした.解説本も出たことだし,真面目に読んでみようということで読みました.

統計的因果探索 (機械学習プロフェッショナルシリーズ)

統計的因果探索 (機械学習プロフェッショナルシリーズ)

 

結論から言うと非常に勉強になった.特に本丸であるLiNGAM(Linear non-Gaussian Acyclic Model)の導入部分にあたる3章までがこれ以上ないくらいにわかりやすく,4章以降にスムースに接続できた.社会学で応用できそうなアイディアも浮かんだので収穫あり(ちなみに清水先生はSEMで有名な社会学者K. Bollenとの共著あり).現在はLiNGAMの仮定(線形性,非巡回性,非ガウス性)をどこまで緩められるかの研究,また観測変数の未観測共通原因がある場合の研究が盛んなよう.そこにスパース性が絡んでくるので面白そう.実装に関しては著者のHPにまとめられているように,公開されているのはMATLABやRが中心.ベイズの枠組みでも色々と検討されているそうなので,Stanによる実装も試してみたい.LiNGAMのアツさがわかる一冊.