Engzell et al. (2020) 結局親次第?祖父母次第?

論文情報

Engzell, Per, Carina Mood, and Jan O. Jonsson. 2020. “It’s All about the Parents: Inequality Transmission across Three Generations in Sweden.” Sociological Science 7: 242-267

要約

最近の文献では、ステータスの伝達における祖父母の役割を研究している。結果はまちまちであり、理論的にはこれらの研究の解釈を複雑にするバイアスが強調されている。我々は、70万人以上のスウェーデンの血統に関する新たに調和された所得税の記録を用いて、4つの実証的事実を立証した。第一に、母親と父親の両方を含み、層別化を多次元的に見るモデルは、我々の母集団における三世代関連を些細な大きさにまで減少させる。第二に、父親の認知能力に関するデータは、標準的な社会経済変数を広範囲にコントロールしても、省略された変数のバイアスを取り除くことができないことを示している。第三に、祖父母が貧しい親の資源を補うという共通の知見は、分布の下端で親の状態を正確に観察することがより困難であることに起因する。第四に、データの質が低く、モデルの詳細度が低いほど、推定された祖父母係数の大きさは大きくなる。多世代移動に関する今後の研究では、任意のサンプルや仕様の特性に大きく依存するこの関連性の大きさや有意性にはあまり注意を払わず、よりロバストな記述事実を確立していくべきである。