Chernozhukov et al. (2020) 米国におけるCovid-19流行の初期段階におけるマスク、政策、行動の影響

論文情報

Victor Chernozhukov, Hiroyuki Kasahara, Paul Schrimpf. Causal Impact of Masks, Policies, Behavior on Early Covid-19 Pandemic in the U.S. medRxiv 2020.05.27.20115139; doi: https://doi.org/10.1101/2020.05.27.20115139

要約

本論文では、米国の各州が採用した学校、企業、レストランの閉鎖などの様々な政策が、Google Mobility Reportsで測定されたCovid-19感染者数の増加率と社会的遠ざかり行動に与える動的な影響を評価した。米国の州レベルのデータを用いた分析では、政策と感染リスクに関する情報の両方が人々の社会的遠ざかり行動の重要な決定要因であり、政策の変更が社会的遠ざかり行動の観察された変化の大部分を説明することが示された。我々のカウンターファクター実験では、2020年4月1日に全ての政策を削除した場合、5月下旬までに30~200倍のケースが追加されていたことが示されている。必要不可欠ではない企業の閉鎖のみを削除すると(映画館やレストランの制限を維持しながら)、週次のケースの増加率は-0.02から0.06の間で増加し、5月下旬までにはケースが-10%から40%増加することになるだろう。最後に、4月1日に従業員のマスク着用を全国的に義務化すれば、症例数の増加率は0.1~0.25%減少する。これは、5月下旬までに報告された症例数が30%から57%減少することを意味し、これはおよそ30から57,000人の命を救ったことになる。